農業研究本部

秋まきコムギ新品種「北見95号」の育成

其田 達也,大西 志全,木内 均,足利 奈奈,森田 耕一,林 和希,神野 裕信,粕谷 雅志,吉村 康弘,佐藤三佳子,小林 聡,西村 努,来嶋 正朋,樋浦 里志,井上 哲也,鈴木 孝子,相馬ちひろ,小倉 玲奈,千田 圭一,竹内 薫,菅原 彰,東岱 孝司

道総研農試集報.107,15-28 (2023)

 秋まきコムギ「北見95号」は,北海道立総合研究機構北見農業試験場麦類グループ(現同麦類畑作グループ)によって育成された,初めての菓子用の北海 道優良品種である。2009年6月に「北系1840」を母,「きたほなみ」を父として行った人工交配に由来する。2020年1月に「北見95号」として北海道優良品種に認定され,同年6月に「北見95号」の名で品種登録出願公表された(品種登録出願番号第34593号)。本品種の「きたほなみ」と比較した特性は次の通りである。成熟期は1日遅いやや早生である。容積重はやや軽い。赤かび病抵抗性は同程度の“中”であるが,赤かび病の発病がやや多い事例がある。収量性は同程度であるが,出穂期7日後から14日間の日照時間が短いと劣る傾向にある。生地物性が弱いことから薄力粉の特性を有し,またアミロース含有率がやや高いことからスポンジケーキ適性やクッキー適性が優れる。本品種の普及により,菓子加工メーカーなどの実需者の道産素材を使用した製品づくりに対するニーズに応えることができる。


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