農業研究本部

バレイショ新品種「スノーマーチ」の育成

池谷聡、藤田涼平、入谷正樹、伊藤武、村上紀夫、松永浩、千田圭一、関口建二、大波正寿、吉田俊幸、兼平修

北海道立農試集報.89,13-24 (2005)

 バレイショ「スノーマーチ」は、北海道立北見農業試験場馬鈴しょ科(農林水産省ばれいしょ育種指定試験地)で育成されたそうか病抵抗性の生食用品種である。1993年に、ジャガイモそうか病抵抗性とジャガイモシストセンチュウ抵抗性を併せ持つ生食用品種の育成を目標として「アトランチック」を母、「Cherokee」を父として交配し、以降各世代の選抜試験等に供試した。2001年からは「北育7号」の地方番号で奨励品種決定調査等に供試し、2004年に北海道の優良品種に採用されるとともに、農林水産省の新品種として認定され、「スノーマーチ」(ばれいしょ農林51号)と命名登録された。「スノーマーチ」のジャガイモそうか病抵抗性は“強”であり、ジャガイモシストセンチュウ抵抗性を持つ。枯凋期は「男爵薯」よりやや遅い中生で、収量性は「男爵薯」より高い。また、塊茎の目が浅く形が良いため剥皮歩留まりが高く、調理特性が「男爵薯」より優れ、肉食が白いため、用途の汎用性が高い。以上のことから、今までそうか病のために生食用ばれいしょを栽培できなかった地域で広く作付けされることが期待される。


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