農業研究本部

水田土壌中におけるカドミウムの挙動
第3報 水稲のCd吸収に及ぼす落水時期の影響

皆川 勝、鎌田 賢一、岩淵 晴郎

北海道立農試集報.29,108-118 (1974)

 鉱山排水の影響によるカドミウム(Cd)汚染が明らかとなった現地の水田において、昭和46年から2ヶ年にわたって、落水時期の早晩が水稲のCd吸収に及ぼす影 響について栽培試験を実施した。  その結果、早い時期に落水すると、水稲体内のCd濃度は著しく増加し、玄米中の 濃度も非常に高くなることが認められた。そしてここでみられた水稲のCd吸収の特異性は、落水に伴う土壌の酸化還元電位の推移や、これと対応して増加する土壌中の可溶Cd量の挙動と極めて密接な関係にあることが明らかとなった。また落水時期の選択にあたっては、土壌の種類、降雨量などの気象条件の相異による乾燥化の程度を 把握するとともに、栽培品種や水稲の生育状況を十分考慮する必要性を認めた。以上を勘案すると、本地帯では出穂後20日間程度経過してから落水するのが適当と思わ れた。


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