農業研究本部

大豆の一莢内粒数について-1

佐々木 紘一

北海道立農試集報.29,17-26 (1974)

 本報告は1970、’71の両年にわたって、十勝農試において実施された生産力検定試 験の結果を、一莢内粒数を中心に取まとめたものである。  当農試では近年比較的粒の大きい系統を目標に品種改良を進めているが、それらの 育成系統は全般に莢数が少なく、一莢内粒数もやや少なく、このことが中粒および大粒系統の収量レベル向上にとっての隘路となっている。  一莢内粒数は千粒重とは負の、莢数とは正の相関関係にあり、子実重とは有意な相関が認められなかった。しかし、単純なCausal systemを想定した分析の結果、一莢内粒数の子実重に対する直接効果は比較的小さな値であるが、それに対して莢数、千粒重を通した大きな間接効果が、正負拮抗していることが明らかとなった。また、供試系統を千粒重、莢数で階級分けしたときの一莢内粒数をみると、粒大の大きなグループおよび莢数の少ないグループでは、一莢内粒数の平均値が小さくなるとともに、 その変異係数も小さな値となっており、今後の中粒、大粒種育成上の問題点の一つと考えられる。


全文(PDF)