農業研究本部

黒蝕米の発生とカメムシ類との関連について
-特にアカヒゲホソミドリメクラガメとの関係-

奥山 七郎、井上 寿

北海道立農試集報.30,85-94 (1974)

 北海道において古くから発生していた黒蝕米は、病原細菌によるものとされていた が、調査の結果、カメムシ類の吸汁加害に起因していることが判明した。  とくにアカヒゲホソミドリメクラガメは、水田において出穂始め頃から成熟期にか けて生息密度が高く、また、上川地方に発生した黒蝕米の形状や斑紋の位置は、本種 の放飼実験によって発現したものと一致していることなどから、同地方における黒蝕 米を発現させる主な昆虫であることが明らかになった。  本種は成・幼虫ともに黒蝕米を発現し、その発現率は登熟初期では高率であるが、 登熟がすすむにつれて減少する。また斑紋の位置は加害時期と密接な関係があり、登 熟初期には頂部に、中期以降は側部上半部の鉤合部にそってできる割合が高かった。  なお、黒蝕米の米粒上に形成される斑紋の位置や形状はカメムシの種類によって異 なり、自然条件で現われる黒蝕米を、その斑紋によって加害したカメムシの種類を判 定することがある程度可能である。


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