農業研究本部

小豆に対する低温の影響について
2 開花前後の低温と子実の肥大との関係

野村 信史

北海道立農試集報.30,9-15 (1974)

 小豆の子実の大きさは年次間、場所間のふれが大きく、冷害年または冷涼地帯で、 しばしば大粒化する。この小豆子実の大粒化をもたらす要因を確かめるため、開花前 後に低温処理を行ない、子実の大きさの日別の推移を調査し、二、三形質と粒大の関 係をみた。  小豆の子実は通常、開花後40日ないし50日を経過して、成熟するのであるが、自然 温度条件および低温条件のもとで調査した日別の粒大の推移のパターンは登熟日数と も関係して、大きく三つの型に分けることができた。  開花前後の低温によって、もたらされた子実の大粒化は、稔実莢数の減少よりも、 主として平均一莢粒数の減少によるものと考えられた。しかし、子実の大きさはまた 登熟期間の積算温度とも関係が深いところから、登熟期間が遅れ、積算温度が不充分 な場合には平均一莢粒数が減少しても、子実の大粒化は認められなかった。


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