農業研究本部

トマトの生育、品質におよぼす環境要因の影響
1.トマトの生育及び異常果と土壌水分の関係

相馬 暁、平井 義孝、岩淵 晴郎

北海道立農試集報.30,45-52 (1974)

 トマトの生育・収量及び異常果、特にグスベリ状の外見を呈するグスベリ状果の発 生に、生育期間中の土壌水分条件がおよぼす影響について検討した。  その結果、生育・収量は多水分区(pF2.0)において最も良好であったが、グスベリ 状果は少水分条件ほど、あるいは生育の途中で水分条件を転換(pF2.0→pF2.6)す ると、発生率が高まった。なお水分条件の転換もしくは少水分条件(pF2.6)により、 燐酸・加里の吸収及び体内移行の劣化で示されるような代謝の乱れが生じ、それが生 育の抑制、特に上部茎葉の生育の抑制をもたらし、グスベリ状果の発生につながった と思われる。  かん水頻度の高い多水分区においては、土壌中養分の減少が著しく、根群が表層に 分布することと相まって、生育後半の養分吸収の低下をもたらし、第3果房における グスベリ状果の発生率を高めたが、追肥後低下した。


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