農業研究本部

リンゴ腐らん病菌、Valsa ceratospema(=V.mali)の胞子形成および分散の季節的変動

田村 修、斎藤 泉、高桑 亮、馬場 徹代

北海道立農試集報.31,34-42 (1975)

 リンゴ腐らん病菌の胞子形成と分散の季節的変動に関する具体的な数量値を示した 報告がないので、圃場で検討した。  その結果、柄子殻は5月から9月にかけて接種病斑上に旺盛に形成され、殻内から の柄胞子は季節的に変動しながら年間を通し分散された。この胞子の分散は降雨と密 接な関係があり、特に降雨回数と捕捉胞子数間には明らかな相関がみとめられた。  他方、成熟子のう殻は8月中旬から観察され、11月初旬時点で80%以上の子の う殻が完熟した。そして、子のう胞子は9月下旬から捕捉され、その後、冬期間は少 なくなるが翌年の7月上旬まで継続して捕捉された。  子のう胞子の分散は柄胞子の場合と同様に、降雨による水分供給と密接な関係が認 められ、冬期間捕捉された子のう胞子は若干の融雪水により分散が促がされたものと 考えられた。


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