農業研究本部

pF測定における遠心法についての考察

山本 晴雄

北海道立農試集報.31,60-66 (1975)

 遠心法により水分張力と水分含量の関係を求める際に、従来用いられてきた計算式 Ψ=rω2は遠心力のみに注目し、毛管ポテンシャルを考慮していない。すなわち上式 によると遠心半径rが大きくなるにしたがい、水分張力Ψは大とならねばならない。 しかし土壌柱を遠心力場においたとき、半径の大きくなる土壌柱下端ほど水分含量が 大で、水分張力が小となる実測値と矛盾をきたす。  遠心法は遠心力場での土柱法にほかならないので、水分張力は自由水面とのポテン シャルの差を測定することによって求めねばならない。遠心力場での土壌柱で測定し ようとする位置(試料)に働く力は自由水面(r1)から測定位置(r2)までrω2を積 分したものでなければならない。したがって計算式はΨ=----rω2drを採用しなければならない。 また自由水面について検討した結果、必ずしも外部より自由水面を与えなくとも土 壌柱下端を白由水面とみなすことができることを確認した。  水分張力を求める際に従来用いられてきた遠心法の理論Ψ=rω2は毛管ポテンシャ ルを考慮していなので実測値と矛盾をきたす。それゆえ遠心法は遠心力場での自由水 面とのポテンシャルの差を測定することによって水分張力を 求めるΨ=----rω2dr(RUSSELL)を採用しなければならない。 その場合の自由水面は岩田のいうように必ずしも外部より与えなくとも試料下端を自 由水面とみなすことができることを実験的に裏づけた。


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