農業研究本部

水稲の生育促進に関する研究
3 出芽温度が苗の出葉速度に及ぼす影響

天野 高久、小川 勉、森脇 良三郎

北海道立農試集報.32,1-7 (1975)

 簡易育苗法が出芽器を使用する箱育苗法よりも葉数が増加しやすいことの主な理由 は、出芽温度が低いことである。出芽揃いまでを30℃程度に保つと、3葉期以後、 出葉速度が著しく低下するのに対して、20℃程度の場合は、そのような現象がみら れない。葉数を確保するために出葉速度の促進に好適な30℃程度の温度を加える方 法が考えられるが、加え方によっては、葉の形態形成を通じて発現してくる受光態勢 の悪化その結果生ずる窒素含有率の低下などの2次的な作用によって、かえって出葉 速度の低下をまねく場合があるので注意が必要である。  出葉速度に遅速が生ずるのは、葉の伸長速度と同時に分化速度に遅速が生ずるため である。出葉速度は苗素質の重要な一指標になり得ると思われる。


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