農業研究本部

トマトの生育・品質におよぼす環境要因の影響
2 育苗日数の相違がトマトの生育・収量・異常果の発生に及ぱす影響

相馬 暁、平井 義孝、岩渕 晴郎

北海道立農試集報.34,32-40 (1976)

 供試苗は40・50・55・60・70日苗の5段階で、少育苗日数苗は発根数が多く、定植 後の養水分吸収が旺盛で、著しい栄養生長を示したが、全収量・早期収量は低く、か つ尻ぐされ果が多発した。  一方、多育苗日数苗は発根力が劣り、定植後の養水分吸収が低下し、そのため定植 後の栄養生長が抑制され、上部茎葉の茎径は先細りとなった。なお、多育苗日数苗は 定植時の生育ステージが進んでいるので早期収量は確保されるが、全収量は伸びず、 グスベリ状果・軟弱果が多発した。多育苗日数苗においては燐酸・加里の吸収低下及 び上部茎葉への体内移行の劣化で示されるような代謝の乱れが生じ、それが生育の抑 制をもたらしグスベリ状果の発生につながったと思われる。  両者の中間の55日苗は栄養生長と結実(生殖生長)のバランスがよくとれ、異常果の 発生も少なく、全収量が最も良好であった。


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