農業研究本部

落下衝撃によるばれいしょ損傷試験

島田 実幸

北海道立農試集報.35,70-78 (1976)

 ばれいしょの中に加速度変換器を埋めて糸で吊り、振子の先端につけた衝撃部を衝 突させて加速度を測定した。衝撃部には丸鋼(直径7、10、l5、20、25、30㎜)及び平 鋼を用いた。衝撃時の芋に与える最大加速度は衝突面の形状によって異なる。 最高値を示したのが、外傷による変形が小さい平板との衝突であり、1m落下高さ で600Gを示した。丸鋼による衝撃は圧砕などの外傷が伴い、芋の変形により衝突エネ ルギーが吸収されるので、7㎜丸鋼の場合で1m高さの加速度は200Gと平鋼の1/3に すぎない。丸鋼でも直径が30㎜になると、芋の圧砕破壊が弱まるので、加速度は5ooG と平鋼に近い値を示す。落下高さと損傷との関係は落下高さが高くなるにつれて損傷 程度が著しくなり、更に、丸鋼の直径が細くなる程、圧砕破壌が強く現われる。又、 芋が大きい程損傷が生しやすい。打撲傷についても同様な傾向があるが、発生高さが 低くなり、7㎜丸鋼ではL芋で7㎝の高さで打撲になる。 一方丸鋼をゴムで被覆した場合には圧砕、打撲損傷共に許容落下高さが高くなり、 それだけ損傷が生じ難いことを示した。特に、打撲については衝撃に対する緩衝作用 が大きく、丸鋼の直径の違いによる差がほとんどなく、40㎝高さで発生した。損傷の 深さは丸鋼が細く、かつ、芋が大きい程深く入るが、ゴムを被覆することによって深 さが緩和され被覆による防止効果が明らかに認められた。


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