農業研究本部

網走地方に分布する主要土壌の養水分供給力に関する研究
6.土壌の加里供給力と作物の加里吸収経過との関係

下野 勝昭、大垣 昭一

北海道立農試集報.36,20-30 (1977)

 北海道網走支庁管内に分布する代表的な4土壌について、1973~1974年にかけてポ ット試験を行い、土壌中の各形態加里と塩基の置換平衡関係から導いた加里ポテンシ ャルの推移とから、各土壌のえん麦に対する加里供給特性に検討を加えた。  その結果、土壌の加里供給特性は、 

1.水溶性加里少-加里活動度比(aRko)低-生育前期加里供給量少、
2.水溶性加里多-aRko高-生育前期加里供給量多、
3.熱硝酸溶出加里少-Potential Buffering Capacity(PBCk)低-生育後期加里供給 量少、
4.熱硝酸溶出加里多-PBCk高-生育後期加里供給量多、
5.水溶性、酢安溶出、熱硝酸溶出加里多、バランス良-aRko、PBCk適位-生育全期 加里供給良、

のように分類され、清里、訓子府土壌は2、3、佐呂間土壌は1、4、遠軽土壌は5 にそれぞれ該当することが明らかになった。また、BECKETTおよびその変法による抽 出液の加里変化量(Q)と加里活動度比(I)との関係から算出した△Ko(me/100g乾土) の高い土壌ほど生育期間内最高加里吸収量は多くなり、さらに、両者は直線関係にあ ることが明らかになった。したがって、△Koは土壌中有効態加里の容量を査定するの に最適の指標であると考えられた。


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