農業研究本部

北海道根室地方産粗飼料の無機成分含量

小倉 紀美、佐野 信一

北海道立農試集報.36,69-76 (1977)

 根室地方産牧草サイレージ70点、乾草48点、放牧草120点のカルシウム、リン、マ グネシウム、カリウム、ナトリウム含量を明らかにし、粗飼料を主体とした乳牛飼養 時において粗飼料から供給しうる無機成分量をNRC飼養標準と当地方の標準的な給 与基準から考察した。  1番草サイレージ及び1番乾草のリン、カルシウム、マグネシウム含量は刈取時期 が遅くなるにつれ減少した。2番草の無機成分含量は1番草より高かった。  放牧草の無機成分含量はナトリウムを除いて、サイレージ及び乾草より高く、特に リンとカリウムは2倍含まれていた。  牧草サイレージ主体飼養時に、体重550kg、乳量20kgの乳牛に対し、濃厚飼料 給与量を乳量の1/5とした場合、粗飼料に要求される無機成分含量を満たさないサ イレージと乾草の割合は、リン:78.0%、カルシウム:1.6%、カリウム:2.5%、マ グネシウム:0%であった。同様に、濃厚飼料給与量を乳量の1/8とした放牧主体飼 養時の放牧草の無機成分がその必要含量以下の割合は、リン:4%、その他の成分は 0%であった。  しかしながら、マグネシウムは、その利用率次第では不足の場合が多いと推測され た。このように、牧草主体の飼養形態において、粗飼料に不足する無機成分は、サイ レージ及び乾草のリンがあげられるが、同時に、マグネシウムについても問題点があ ることを指摘した。


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