農業研究本部

水稲新品種「ともゆたか」の育成について

江部 康成、江川 勇雄、前田 博、佐々木 忠雄、山崎 信弘、森脇 良三郎

北海道立農試集報.38,10-21(1977)

 「ともゆたか」は1969年に北海道立中央農業試験場稲作部で「北海222号」(のちの マツマエ)×「道北1号」(のちのイシカリ)の交配を行い、F3まで温室と暖地を利用 して集団で世代促進し、F4を穂別系統栽培で選抜、以後系統育種法により育成した 水稲粳品種である。  1972年「空系47136」の系統番号で生産力検定試験・特性検定試験を開始、1974年 「空育103号」の配付系統名を附し、奨励品種決定調査事業により主に道央地帯の適否 を検定した。1977年3月の北海道種苗審議会で奨励品種に採用、空知で育成された多 収品種にちなんで、「ともゆたか」と命名された。  中生の短稈穂数型で、対象品種「ゆうなみ」に比べると熟期・草型・初期生育・耐 倒伏性・いもち病抵抗性・食味は同じであるが、耐冷性・登熟・玄米品質が優り、特 に収量は現在道央地域の基幹品種である「ゆうなみ」、「イシカリ」比べて多収であ る。ゆうなみに代り道央中生種地帯の基幹品種として期待される。


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