農業研究本部

大豆新品種「ヒメユタカ」の育成について

砂田 喜与志、佐々木 紘一、三分一 敬、酒井 真次、土屋 武彦、斎藤 正降

北海道立農試集報.38,62-72(1977)

 大豆「ヒメユタカ」は、1964年北海道立十勝農業試験場で中生、白目、良質、多収 品種の育成を目的として、「十育129号」×「カリカチ」の人工交配を行い、以後系 統育種法で選抜固定を図ったものである。  1971年以降「十育161号」の系統名を付して、各種試験を重ね、必要諸会議の検討 を経て1976年6月農林省に新品種(大豆農林61号)として登録され「ヒメユタカと命名 された。  本品種は白目、大粒(100粒重35g内外)、子実の外見的品質に優れ、「トヨスズ」よ り4~5日早熟の中生種である。主茎長は66㎝程度と「トヨスズ」より約15㎝長く、 主茎節数も多い。収量は「トヨスズ」より5~10%多く、「キタムスメ」並の高い収量性を示す。ダイズシストセンチュウに対し抵抗性はない。また耐倒伏性は「トヨスズ」より弱く、「キタムスメ」並である。  栽培適地は、北海道十勝、網走、および上川管内中南部であるが、十勝中央部はダ イズシストセンチュウの密度が高いので適さない。


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