農業研究本部

莱豆新品種「姫手亡」の育成について

三浦 豊雄、成河 智明、後木 利三、大塚 正

北海道立農試集報.38,83-91 (1977)

 菜豆「姫手亡」は、短稈、良質多収を育種目的として、1968年北海道立十勝農業試 験場で「十育A-29号」×「Improved White Navy」の交配組合せから選抜育成したも ので種の試験を重ね、1976年3月北海道の奨励品種に決定された。  主要特性はつぎのとおりである。  草丈は60㎝前後、主茎節数が9-10節の叢性硬莢種である。稚苗の茎色は白、子実は 白色、子実の形状は楕円である。以下それぞれ「銀手亡」と比較すると、開花始は1日遅く、成熟期は3日早い中生種である。耐倒伏性や耐冷安定性は強いが、耐病性で は大差がない。千粒重は320g程度で粒大はやや小さいが、莢数やl莢内粒数が多いた め、子実収量は4-16%多収を示す。子実の外観的品質はやや劣り、種皮が薄く種皮歩 合は低い。煮熟した時の肉質は粉質で粘性は低い。  栽培適地は十勝、網走、上川などの畑作地帯である。本品種は蔓がないため栽培管 理や収穫作業が容易であるが栽培上の注意は「銀手亡」に準じてよい。


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