農業研究本部

十勝火山性土の土壌微生物学的特性
第1報 湿性火山性土における石灰施用による土壌微生物性の変化

関谷 長昭

北海道立農試集報.39,54-65 (1978)

 十勝地方において酸性改良を必要とする土壌のうち、湿性粗粒火山性土と湿性細粒 火山性土を供試し、酸性改良資材として炭酸カルシウム施用による土壌微生物の変化 を、作物栽培条件下で3年間調査した。  平板法による主要微生物数の測定の結果、好気性細菌、放線菌およびグラム陰性細 菌の菌数では、供試した両土壌において、炭酸カルシウム施用量との間に一定の関係 は認められなかったが、糸状菌では、両土壌でpHと高い負の相関(r=-0.8l29***) がみられた。  一方炭酸カルシウムの施用は、土壌の脱水素酵素活性の促進に効果が認められた。 また、洗滌培養による硝化作用は、特にその培養後期に増進効果をあらわした。供試 土壌間には、硝化過程における最大硝化速度およびその出現時期に差異がみられた。  すなわち、湿性粗粒火山性土においては、炭酸カルシウムの施用によって、最大硝 化速度に大きな変化はないが、この出現時期が早まるのに対し、湿性細粒火山性土に おいては時期の変化がなく速度が著しく促進された。


全文(PDF)