農業研究本部

北海道におけるアワヨトウの異常発生の原因
特に1962年の発生状況に関する考察

奥山 七郎、奥 俊夫

北海道立農試集報.40,71-82 (1978)

 北海道における1962年のアワヨトウ第1世代幼虫の発生は一般に少なかった。  しかし、第2世代では道西部の、空知、上川以南に激発し、同時に東北地方西部に も若干の被害があった。第1世代が少発生であったことから、第2世代の広域大発生 は成虫の集団飛来に起因すると推測される。甚害が北日本を南北に縦断する山脈の西 側のみに起ったことは、成虫群が西方から比較的低空を飛行して来たことを示唆して いる。  飛来期と想定される7月下旬~8月中旬の気流条件、被害の発生時期及び分布状況 から判断して、この広域大発生は台風10号の通過に伴う、中国東北区南部または朝鮮 半島北部からの異常飛来によって起こった可能性が大きい。


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