農業研究本部

直播イネの初期生育に及ばす冷水温の影響

竹川 昌和、森脇 良三郎

北海道立農試集報.41,21-28 (1979)

 北海道における水稲直播栽培は、春の低温によって減収することがよく知られてい る。対照区より5℃低い冷水温処理が水田における直播イネの発芽、苗立などの初期 生育に及ぼす影響を検討した。  冷温処理はスノーボードと呼ばれる断熱材の水面被覆により行った。その結果は次 の通りである。  直播イネは生育初期の冷温によって、本葉1葉期が遅れ、苗立率が低下した。その 結果、出穂遅延による登熟障害と籾数不足をまねき、減収した。  冷温による発芽率の低下はほとんどなく、苗立率の低下は発芽後の個体の枯死によ ると考えられた。  生育時期別の令温処理を行った結果、冷温に対する抵抗力のもっとも劣る時期は、 発芽以後、初生葉期ころまでの間であると推定された。なお、水温と物質分配の関係 を調査した結果、冷温条件下での地上部、池下部間の物質分配の不均衡はみられなか った。


全文(PDF)