農業研究本部

直播イネの発芽、苗立障害に及ぼす過酸化石灰種子粉衣処理の効果

竹川 昌和、森脇 良三郎

北海道立農試集報.42,1-9 (1979)

 過酸化石灰種子粉衣処理によって、湛亡水直播イネの発芽、苗立の不安定性の解消 が可能となった。とくに実際ほ場において生育初期の冷温(約20℃-9℃;最高最低水 温)による苗立不良と収量低下を軽減する効果、および種子の被泥、埋没等の苗立不 良を誘起する条件やイネわら等の右機物投入による土壌還元の生しやすい土壌条件で の苗立向上の効果か認められた。  過酸化石灰の使用効果はこれが水分と接触して発生した酸素の供給によるもので、 酸素の供給が発芽率そのものを高めると同時に、初生葉などにおける葉緑素の形成を 促進し、発芽個体周辺における腐敗苗の増殖を抑制して、初期における生育障害、苗 腐敗などを軽減し、苗立率を高めることである。  このことから北海道のような寒冷地における水稲湛水直播栽培の最も大きな欠点と いえる発芽から苗立までの障害除去の可能性か生じた。


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