農業研究本部

稲品種の低温発芽性に関する育種学的研究
7 雑種初期世代の育成条件が低温発芽性および初期生育性に及ばす影響

佐々木 多喜雄

北海道立農試集報.42,11-19 (1979)

 水稲雑種初期世代を湛水直播栽培で養成した場合、後代の低温発芽性および初期生 育性に及ばす集団選抜の効果と、併せてその他の主要農業形質に与える影響を検討し た。  3組合せを供試しF3とF4を湛水直播栽培で永山町と風連町(低水温、低気温地 域)で養成し、F5個体に由来するF6系統について、標準移殖栽培(永山)との比較 で検討した。  湛水直播栽培による低温発芽性および初期生育性に及ばす集団選抜の効果が認めら れ、後者においてその程度が高かった。同時に、出穂期が早くなり、稈長が高くなる 傾向を示した。しかし、3組合せ全てについて有意性を示したものはなく、組合せに より異なる場合がみられた。  その他の特性については一定の傾向はみられなかった。集団選抜の場としての効果 は、永山よりも風連が高かった。 分散の変動については、明らかな有意差を示した特性はなかったが、風連直播区の分 散値が、他2区に比して、やや大きい傾向を示した。


全文(PDF)