北海道産ニカメイガ属の発生消長と予察灯調査における問題点
八谷 和彦
北海道立農試集報.42,43-53 (1979)
北海道立農試の4地点(岩見沢、長沼、大野、旭川)に設置されている水田予察灯で、 過去数年間に誘殺されたニカメイガ属昆虫を交尾器によって同定し、ニカメイガおよ びその類似種の発生消長を調査した。 その結果、総誘殺数の約40~98%はニカメイガであったか、残りはハコネメイガ、 ニカメイガモドキ、およびキタヨシツトガからなっていた。なお、ニカメイガについ で誘殺数が多かったのはハコネメイガであった。 ハコネメイガとニカメイガモドキはニカメイガに非常に近縁で、かつ形態が酷似し ており、肉眼による同定は困難である。また、この2種の発生期は早く、ニカメイガ の第1回成虫の初発が6月下旬から7月上旬であるのに対し、ハコネメイガはこれよ り約1カ月早い6月上旬頃初発した。従って、従来ニカメイガ成虫の初発日として記 録されてきた数値は、これら類似種の初発日であった可能性が強い。 予察灯によるニカメイガの調査においては、類似種に対する十分な注意が必要であ ろう。
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