農業研究本部

オーチーャードグラス雪腐大粒菌核病の発生生態

尾崎 政春

北海道立農試集報.42,55-65 (1979)

 オーチャードグラスの越冬性に重大な影響を及ばす雪腐大粒菌核病の発生生態、特 に発生に及ぼす環境条件、感染条件などについて検討した。  発生に影響を及ぼす環境条件として、積雪の多いことがあげられ、しかも発病に有 効な積雪(40㎝以上)期間が長いほど、本病の発生まん延が激化し、被害を大きくする ことを明らかにした。  病原菌(Sclerotiniaborealis Bubak et Vleugel)子のう胞子は、自然条件下で少な くとも30日以上生存が可能で、また、子のう胞子の発芽は根雪前にも極めてわずかに 認められる場合もあるが、多くは根害後であることから、病原菌の感染時期は根雪後 であるとした。  病原菌の感染は、寄主が根雪前にある程度の低温に遭遇しないと認められないこと から、寄主が低温に遭遇することが感染の有無を左右する主要因であり、草種による 感染条件の成立時期は、耐凍性が強い草種ほど遅いことを認めた。


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