農業研究本部

乳牛の妊娠末期における燐の補給が分娩時の血中カルシウムと上皮小体ホルモン濃度に及ぼす影響

小倉 紀美、佐野 信一、中川 忠昭

北海道立農試集報.43,24-30 (1980)

 放牧条件下で妊娠末期牛に対する飼料中の燐含量をかえ、カルシウム(Ca)と燐(P)の比が1.0のP補給群(5頭)と1.5の対照群(5頭)について分娩時の血中Ca、無機P、上皮小体ホルモン(PTH)濃度を比較した。 

1.血中Ca濃度は両群ともに分娩後24時間目に最低値を示し分娩前より有意に低下したが、この低下の程度は乳熱発症牛(両郡各1頭)を除いてほぼ正常の範囲であった。また、分娩前後を通じて両群の間に濃度差は認められなかった。
2.血中無機P濃度の変化は両群ともにCa濃度にほぼ平行し群間の差も認められなかった。
3.血中PTH濃度は両群ともにCa濃度が最も低下した分娩後24時間目にピークを示した。この時のPTH濃度には群間の差がなかったが、血液の低Ca状態に対する上皮小体の反応はP補給群が強い傾向を示した。
4.その他の血液成分(マグネシウム、カリウム、ナトリウム、血糖)濃度にも両群間の差がなかった。


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