農業研究本部

網走地方に分布する主要土壌の養水分供給力に関する研究
5.土壌のNitrogen Mineralization Potentialの測定とその評価について

下野 勝昭、大崎 亥佐雄

北海道立農試集報.45,27-37 (1981)

 土壌Nの無機化過程を知るため、10種類の土壌を用いて22週間洗浄培養を行い、その結果からN供給量を速度論的に推定することの是非について検討した。 

1.洗浄培養法により求めた無機態N累積量と培養期間の平方根との間には、1土壌を除いてほぼ直線関係の成立することが認められた。
2.Stanfordらの提唱するNMP(Nitrogen Mineralization Po-tential)の近似値を求める過程には問題点のあることが認められた。
3.T-N含量に対するNMPの比率をみると、T-N含量が0.2%前後の土壌は10%程度の値となった。
4.N無施用区のえん麦のN吸収量とNMPとの間には有意な相関を認めることはできなかった。最も有意な相関を示したのは、無栽培、N無施用状態で放置した土壌の無機態N含量であり、N施用前の無機態N含量は、土壌のN供給力を推定するために必ず測定しておくべき分析項目である。


全文(PDF)