農業研究本部

十勝地方火山性土における有機物の利用に関する研究
2.秋播小麦桿施用時のC/N比調節

松代 平治、佐藤 辰四郎

北海道立農試集報.46,30-40 (1981)

 炭素率(C/N比)の高い秋播小麦桿を土壌に施用する場合,後作物の窒素飢餓を防止し,更にある程度の窒素の無機化量を得るにはC/N比を調節する必要がある。そのC/N比調節上の諸問題を,十勝地方の火山性土において検討した。その結果速効性の尿素態窒素を用いた場合,C/N比を30以下に調節すると窒素飢餓を防ぐことができたが,施用翌年の窒素の無機化量は,無施用に比べてほとんど増加しなかった。その理由は,秋播小麦桿の分解が緩慢なために,その施用時にC/N比調節に必要な窒素を全量加えても,有機化されるのも緩慢で当初に余剰が生じ,それが硝酸などの形でその後に流亡し,利用されないためと思われた。その欠点を防ぐために,緩効度の異なる3種類のUreaform態窒素(UF-N)によりC/N比を20に調節した結果,緩効度が中位(尿素とフォルマリンの縮合モル化が2.0)のUF-Nが最も良く,無機態窒素の推移,後作物の生育がたい肥の場合に最も近かった。


全文(PDF)