農業研究本部

アスパラガスの生産性に及ぼす環境要因の解析
第2報土壌型の特性と生産性,特に根群分布と土壌肥沃との関係

多賀 辰義、関口 久雄、岩崎 晴郎

北海道立農試集報.47,66-77 (1982)

 アスパラガス畑の生産性および土壌実態調査研究の結果,収量と土壌型の関係では褐色低地土(沖積土)で最も高く,ついで褐色火山性土,未熟火山性土,火山放出物未熟土およぴ酸性褐色森林土(洪積土)の順であった。その主要因は根が表層0~10cmに少なく,その下層10~30cmに70~80%あるにもかかわらず,根分布に対応した肥培管理がなされていないことにあった。土壌層位毎の根量と土壌化学性との関係を調査研究した結果でも,下層の化学性と根量比は密接な関係をもち,十分な根量の確保には表層下10~30cm位まで,TruogP2O5および塩基飽和度を土壌診断基準値以内にすることが必要と推定された。さらに,土壌の物理性は酸性褐色森林土における堅密化(山中式硬度計示度26~27)による根の伸長阻害や火山放出物未熟土にみる粗粒下層の過剰孔隙(35%以上)による保水性低下等が根量の減少をもたらしており,粗孔隙(pF1.5以下)が10~25%の範囲で根群の発達は最も良好であった。


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