農業研究本部

ヒメトビウンカの生態に関する研究
1 冬期間の生存率

梶野 洋一

北海道立農試集報.48,40-45 (1982)

 ヒメトビウンカ越冬世代幼虫の冬期間における生存率の時期別変動および越冬期間中の密度変動について検討した。  1980~81年の野外ケージ内の生存率は15~30%で、採集産地によって異なった。時期別にみると、最も生存率の低下が著しいのは融雪期であり、次いで11~12月の根雪前後で、積雪下の1月、2月には生存率の低下はみられなかった。  水田畦畔における秋から春への冬期間の死亡による密度の低下は著しく、年次変動も大きかった。融雪期の生存率の低下は越冬生息部位の水分過多という不良環境に起因するが、その程度は年次間で変動が少ないので、根雪前の環境要因が越冬期間中の生存率の高低を左右していると推論した。  その結果、11月の気温が高く、降水量、降雨および降雪日数が少ない年ほど、越冬期間中の幼虫密度の低下は少ないと考えられた。


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