農業研究本部

水稲新品種「ともひかり」の育成について

和田 定、江部 康成、江川 勇雄、前田 博、佐々木 忠雄、菊地 治巳、新井 利直、本間 昭、山崎 信弘

北海道立農試集報.50,109-119 (1983)

 水稲「ともひかり」は,1974年に北海道立中央農業試験場で交配した「(北海230号×巴まさり)×空育99号」の雑種後代から育成され,1983年6月に北海道の奨励品種に採用された(系統名:空育111号)。特性の概要は次のとおりである。出穂期と成熟期は「イシカリ」,「ともゆたか」より早く,早生の晩に属する。稈長,穂長はほぼ「イシカリ」と同じである。草姿はよく止葉は立つ。穂先は無芒,黄白色で脱粒性は難である。いもち病耐病性は中,耐冷性と稈質は"ヤ強"で「ともゆたか」並である。玄米の品質,食味は「キタヒカリ」と同じで「イシカリ」,「ともゆたか」を上回る。玄米収量は「イシカリ」並で,「キタヒカリ」より多収であるが「ともゆたか」に比べると少収である。以上の特性からみて,本種は北海道の中央部向きに推奨できる。


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