農業研究本部

異常低温年におけるトウモロコシの積算温度の一定性

戸澤 英男、長谷川 寿保

北海道立農試集報.50,25-33 (1983)

 1981年における十勝地方の気候条件は低温鼻照多雨に経過し,生育の遅れは未曽有のものとなった。そこで,この異常低温年を含む1972~1981年の10ケ年間について,発芽期間および播種後45日の出葉に対する積算温度の一定性を検討した。その結果、発芽期間および1出葉当たり積算温度の年次間変動は0.1℃以上の日平均気温を積算する単純積算温度で小さく,有効温度の下限を4.1,6.1,8.1,10.1℃とする有効積算温度で大きいことが示された。そして,これらの結果は1981年の異常年においてもよく適合し,単純積算温度の生育進度に対する一定性は普遍的に高いことが認められた。また,積算温度の一定性を評価する際の標準偏差と変異係数のもつ意義を論じ,変異係数による評価がより妥当であることを明かにした。


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