農業研究本部

草地の牧草生産力が飼料給与,牛乳生産に及ぼす影響

松中 照夫、小関 純一、松代 平治、赤城 仰哉、西陰 研治

北海道立農試集報.50,34-42 (1983)

 根室地方の758の採草地における牧草収量が,その草地を所有する農家の乳牛飼養頭数からみた必要な草量を満たすかどうかを検討し,その結果から草地の牧草生産カが飼料給与,牛乳生産に及ぼす影響を明らかにしようとした。1頭当たりの草地面積が狭い農家の草地では,多肥されており高収となる傾向が認められた。しかし,乳牛飼養頭数規模からみた必要な草量を十分確保するほどには,収量は高くなかった。また1頭当たり草地面積が狭く,必要な草量に対する牧草収量の比率が低い農家ほど,乳飼比が高かった。このような傾向は,乳牛飼養頭数規模が大きくなるほど著しくなった。したがって乳牛飼養頭数規模の大きい農家では,購入飼料に強く依存した牛乳生産が行われ,自給飼料を主体とした有利な経営が行われていないと考えられた。  これらのことから,草地の牧草生産力を高めることが,今後の酪農経営改善に重要であると思われた。


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