農業研究本部

北海道におけるコムギ条斑病の発生状況と被害

尾崎 政春、赤井 純、真野 豊

北海道立農試集報.50,54-63 (1983)

 コムギ条斑病は北海道の主要麦作地帯で急速に分布を拡大し,発生量も増加している。本病にり病すると根と冠部の褐変および葉身の黄化と条斑などの症状が発現する。根と冠部の褐変および葉身の黄化は,発芽後約1か月の10月中旬から認められたが,本病の典型的症状である条斑症状は越冬後の5月上旬に出現し,約1か月後には最上位葉にまで進展した。葉身の条斑は葉鞘に生じる条斑に連続するのが特徴であり,症状の激しい株では稈や穂軸にも褐色条斑を形成した。条斑症状の形成程度,病茎率,止葉の発病率および節からの病原菌の分離率には明らかな品種間差が認められ,本病に対する品種間差を許価できる可能性が高いと考えた。発病すると節間伸長が著しく抑制されて草丈が低下し,甚しい場合には穂が著しい出すくみとなり,わずかに発病しただけで,コムギの収量構成要素の根幹をなす1穂当りの粒数と粒重が激減し,収量に及ぼす影響が極めて大きいことが判明した。


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