農業研究本部

ヒメトビウンカの生態に関する研究
II.越冬あけ幼虫の発育と第1回成虫の翅型の地域間差異

梶野 洋一、八谷 和彦

北海道立農試集報.50,76-82 (1983)

 越冬あけ幼虫の羽化までの発育日数は,温度か低いほど長くなり,個体間差も大きく,また越冬令期によっても異なった。越冬令期は各地点とも4令期が主であったが,5令越冬個体も極くわずかに認められた。4令越冬個体の発育速度と温度との関係から求めた発育限界温度は旭川産で9.9℃,平取産で9.2℃であった。野外網室内での羽化調査でも室内飼育実験と同様の結果が得られたことから,日高及び道南地方に生息する個体群と旭川地方の個体群とでは越冬あけ幼虫の発育が異なることが認められた。第1回成虫の翅型は年次間でも変動がみられたが,地点間でも明らかに異なり,日高や道南地方の個体群は旭川地方の個体群に比べて第1回成虫に短翅型の出現しやすいことが認められた。


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