農業研究本部

捕虫網による水稲害虫のすくい取り効率に関する知見

八谷 和彦

北海道立農試集報.51,73-82 (1984)

 すくい取り法による水稲害虫の発生量調査に役立てるため,すくい取り効率(捕虫網による捕獲効率)とこれに及ぼす気象条件などの影響について,アカヒゲホソミドリメクラガメとヒメトビウンカを対象とし,上川農試ほ場において試験を行った。使用した捕虫網及びその振り方は,発生予察事業実施要領及び慣行法に従った。すくい取り除去法と放飼成虫の再捕獲率とから,アカヒゲホソミドリメクラガメ成虫及び同幼虫のすくい取り効率は10~20%の間にあると推定された。ヒメトビウンカの効率は明らかでなかったが,翅型及び性により異なることがわかった。両種の捕獲個体数と調査時の風力との間には負の相関が認められた。特にヒメトビウンカ成虫の捕獲個体数は風の影響を顕著に受け,風力3におけるそれは風力0の場合の50%以下となった。しかし,両種の捕獲個体数に対する気温及び天気の影響は見い出せず,従来の知見と若干異なる結果を得た。


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