農業研究本部

アスパラガスの生育に及ぼす環境要因の解析
III.生育相および養分吸収に及ぼす窒素供給時期の影響

多賀 辰義、関口 久雄

北海道立農試集報.52,25-30 (1985)

 組織培養によって得られた個体変異の小さいアスパラガス苗を用いて,生育期間を前期・中期および後期の3段階に分け,N欠除試験を砂耕栽培によって行った。その結果,通年N供給区(標準区)に比べて前期N欠除区は茎葉中のN含有率を低下させ,茎数増加を抑制するが影響は少なく,N供給再開後の回復も早かった。翌年の若茎収量は通年N供給区より若干劣った。一方,中期から後期のN欠除は前期N欠除区よりN含有率や生育量は低下し,N再供給による回復もにぶかった。しかし,翌年の若茎収量は中期N欠除区が最も高かった。したがって,アスパラガスヘの適切なN供給法としては,生育初期にN供給を適切に行って茎葉生育量を確保し,中期にはN補給を抑制して茎葉の過繁茂を抑える。更に生育後期においては葉茎活性を低下させない程度のN供給によって,根部への同化物質の蓄積を図るのが適切な方法といえる。


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