農業研究本部

ほ場におけるタマネギ軟腐病のまん延機作

田中 民夫、斉藤 泉

北海道立農試集報.53,61-66 (1985)

 タマネギほ場において,タマネギ軟腐病の病原細菌を注射接種して発病させ,その後のまん延状況を調べたところ,接種株を中心とした周辺の株が主として発病した。このほ場における一定面積あたりの発病株の頻度分布は集中分布の一つである負の二項分布に適合した。接種株を抜き取ると軟腐病のまん延は抑制されるが,早期抜き取りほどその効果は顕著である。また,ほ場において,軟腐病罹病葉を健全株に人為的に接触させることで,接触を受けたタマネギの大部分は軟腐病に罹病した。これらのことから,軟腐病のまん延には罹病株の健全株への接触が大きな役割を果していると考えられた。罹病葉接触による発病は,接触処理前後にストレプトマイシン剤を散布しても抑止できなかった。


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