農業研究本部

北海道十勝地域におけるナガイモ作の展開と産地主体の行動

河野連夫

北海道立農試集報.53,67-79 (1985)

 北海道十勝中央地域のナガイモ作産地事例の分析結果にもとづき,十勝地域においてナガイモ作の産地化に必要とされる産地主体の行動について考察した。ナガイモ作の産地化に必要な条件は,生産組織による良質種子の地区内一元供給と農協による販売機能の一元化である。これには農業改良普及所・原種生産農家・先導的農家・生産組織・農協が,優良系統の選抜・ウィルス予防の徹底化・出荷市場の開拓・労働手段装備の高度化を進める担い手として行動し,しかも産地の重要な意思決定を主体間の合意のもとで行うことが求められる。そして優良系統の選抜やウィルス予防の実践には,良質種子の一元供給の意義を認識した自覚的農家の存在が必要であり,この点で農家の行動に動機づけを与える農業改良普及所の役割が重要である。


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