農業研究本部

牧草の苦土欠乏症発現とその施肥対策

大村 邦男、関口 久雄、赤城 仰哉

北海道立農試集報.55,1-12 (1986)

 土壌の苦土含量と牧草生育の関連について検討し,その下限値及び草地の安定生産を維持するための適正値を設定した。さらに,適正値を基にした具体的な施肥法の指針を現わした。牧草生育を正常に保つための土壌苦土含量の下限値は,置換性MgOで10mg/100gで,同値が5mg以下では欠乏症が発現するとともに減収傾向が認められた。草地の安定生産を維持するために必要な土壌苦土含量(適正値)は,20mg/100g程度と考えられた。なお,苦土欠乏が発現した時のK/Mg(m,e)は3以上であった。更新時に低苦土草地を適正値まで富化するには,MgOで20kg/10a程度の施肥が必要とみられ,この際く溶性形態の苦土肥料を用いるのが適当と思われた。また,既存草地の応急的な改良のためには,水溶性形態とく溶性形態の苦土肥料を併用するのが得策である。土壌の苦土レベルを適正値まで富化した後の維持管理の草地に対しては,MgOで年間に3~4kg/10aの施肥が必要とみられた。


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