農業研究本部

リンゴわい性台樹の生育,収量および果実品質におよぼす窒素施用量の影響

日笠 裕治、村松 裕司、峰岸 恒弥

北海道立農試集報.55,23-31 (1986)

 リンゴわい性台の「つがる」を供試し,窒素施用量が樹体生育,果実収量および品質におよぼす影響を検討した。窒素施用量の増大は新生部位である葉,果実および若い枝の窒素含有率を上昇させたが,幹周,新梢長等の樹体生育および収量,平均一果重等への影響ははとんどみられなかった。一方,窒素多肥により果実の地色指数および着色指数は明らかに低下し,果実着色へ悪影響をまねいた。特にその傾向は窒素施用量が10kg/10a以上で顕著であった。この着色が悪化する主要因は,枝葉の繁茂による光条件の悪化よりも,果実への窒素集積による直接的影響であるものと考えられた。また,窒素施用量の増大が果実中の可溶性固形物含量におよぼす影響はきわめて小さいが,リンゴ酸含量を減少させる傾向が認められた。したがって,若木のリンゴわい性台樹に対する窒素施用量は10kg/10aが上限であった。


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