農業研究本部

紅変米の発生要因に関する研究  第1報 胞子飛散と感染・発病過程

田中 文夫、土屋 貞夫

北海道立農試集報.56,51-57 (1987)

 紅変米の病原菌Epicoccum purpurascensの胞子飛散、感染時期、発病と米粒の登熟特性との関係を検討した。  本菌は稲作地帯では非常に広範かつ高密度に分布しているが、主に畦畔のイネ科雑草や本田のイネの枯死葉が胞子飛散源となっている。飛散量はイネの出穂期ころより増大し、晴天の日中に集中する点でイネの開花特性と一致する。  接種試験により開花中の頴花内への胞子の飛込みが主な感染方法と考えられた。頴内の潜入胞子は比較的速やかに発芽し生育するが、病斑形成まで約30日の日数を要した。  米粒への接種により、糊熟期までの緑色の米粒は果皮の活性が高いために病原菌が侵入できず、黄熟期の緑白色の米粒は急激に本菌に対する感受性が高まることを認めた。  更に米粒の水分含有率が高い程、紅変米の発生も多くなり、米粒の感受性はその水分含有量によっても著しい影響を受けることが明らかとなった。


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