農業研究本部

共和町に発生したスイカの萎ちょう症状の原因について

近藤 則夫、児王 不二雄、尾崎 政春、赤井 純

北海道立農試集報.56,59-64 (1987)

 1986年6月北海道後志支庁管内共和町においてユウガオを台木としたスイカの株全体が萎ちょうし、症状が激しくなると枯死する病害が発生した。病株の維管束には褐変が認められた。  この原因を明らかにするために同町内の45ほ場から萎ちょう株を採集して分離したところ、60%のほ場からVerticillium dahliaeが分離され、僅かながらFusarium oxysporumも分離された(2%)。そこで両者の病原性を確かめるため接種試験を行った。  その結果、V.dahliaeはスイカに対しては自然病徴に類似する萎ちょうを起こした。またメロン、ユウガオ、カボチャに対しては萎ちょう症状は起こさないものの、接種植物の維管束内からV.dahliaeが再分離された。  一方F.oxysporumも、スイカとユウガオの萎ちょうを起こし、メロン、カボチャには病徴を示さずに維管束内に侵入した。しかし病原菌の分離頻度はV.dahliaeが極めて高率であることから、共和町におけるスイカの萎ちょう症状は、主としてV.dahliaeに起因する半身萎ちょう病であると結論した。


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