農業研究本部

春播小麦新品種「ハルユタカ」の育成について

尾関 幸男、佐々木 宏、天野 洋一、土屋 俊雄、前野 真司、上野 賢司

北海道立農試集報.58,41-54 (1988)

 春播小麦「ハルユタカ」は1972年北海道立北見農業試験場において「Siete Cerros」に「Pal 1」を交配したF1を母とし、「Tob-8l56(R)」に「ハルヒカリ」を交配したF1を父として人工交配し、以後選抜固定を図ったものである。  1981年から「北見春47号」の系統名で奨励品種決定調査に供試し、全道各地での適否を検討した結果、l985年ll月農林水産省に新品種(小麦農林130号)として登録され、「ハルユタカ」と命名された。  本品種は「ハルヒカリ」に比較し、次の特性を有する。  成熟期は2日程度遅く、中生種に属する。稈長は20cm以上短い。  強稈で耐倒伏性に優れる。多収で、特にドリル播・多肥栽培で能力を発揮する。  製粉性、粉の色は優れ、製パン適性は劣るが、製めん適性はやや優れる。  赤さび病、うどんこ病抵抗性は優れるが、耐穂発芽性、赤かび病抵抗性はやや劣る。  栽培適地は全道の春播小麦栽培地帯である。


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