農業研究本部

小麦に寄生するアブラムシ類の発生消長と密度推定法

兼平 修、梶野 洋一、高倉 重義、斉藤 美奈子

北海道立農試集報.58,83-91 (1988)

 1978~1986年、小麦に寄生するムギヒゲナガアブラムシとムギクビレアブラムシの2種の季節的発生消長について調査した。  優占種はムギヒゲナガアブラムシの場合が多く、出穂前の両種の寄生虫数は少かった。出穂後は大部分が穂に寄生し、出穂l0~20日後ころから寄生密度は本格的に増加した。  各年の発生のピークは7月中~下旬であった。出穂後10~20日問の気象条件はアブラムシ類の発生量と関連があり、この時期の降雨日数が少ない年は発生が多かった。圃場内の分布は、周辺部が中央部より寄生密度が高い事例が多かった。  密度推定のための簡易調査法として寄生穂率と寄生虫数の関係を検討した。その結果対数変換後の両者の間には高い相関関係が認められた。  寄生穂率に対する寄生虫数のばらつきは大きいが、寄生穂率から寄生虫数の推定は可能であった。  また、春期と秋期の秋播小麦圃場での発生状況から、ムギヒゲナガアブラムシの越冬を確認した。


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