農業研究本部

牛ふん尿の成分特性と汚濁負荷の発生
酪農地帯における肥料成分の流出と水質保全(第1報)

大村 邦男、黒川 春一

北海道立農試集報.59,1-7 (1989)

 酪農経営に伴って発生する牛ふん尿の化学的性状について、環境保全的な見地から調査すると共に、農業系外へ排出される負荷量に関する検討を行った。  搾乳牛のふん尿の成分値は、EC、N、K、Naを除いてふん>尿であった。また、成分値の変動は尿>ふんの傾向がみられた。ふん尿の化学的性状からみて、水質汚濁上問題になるのは、ふんではSS、COD、Pが尿ではNが主体と考えられた。  なお、牧草中心の飼養形態ではふん中の水分含量が高く、各成分値は低い傾向か示された。  酩農経営に伴う発生負荷量は、成牛l頭当たり年間にCODが329kg、N88kg、Pl6kgで、全道における発生負荷量は(1985年、成牛換算654、200頭として)、CODが21.5万t、N5.8万t、Pl万tとみられた。  これら発生負荷の中で農業系外へ排出される量は1割末満と推測された。排出負荷は畜舎管理の改善と農業系内におけるふん尿の有効利用により、その低減を図ることが可能である。


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