農業研究本部

リンゴ新品種「ハックナイン」の育成について

渡辺 久昭、田中 静幸、細貝 節夫、峰岸 恒弥、松井 文雄、村松 裕司、柿崎 昌志

北海道立農試集報.60,87-98 (1990)

 「ハックナイン」は「ふじ」より熟期が早く、「デリシャス系」品種に替わる、高品質な果実特性を持つ品種の育成を目標に選抜された。1971年に「ふじ」を母、「つがる」を父として交配した。  1978年に初結実し、1980年に系統名を付した。その後HAC9の系統名で地域適応性試験が行われ、1985年に北海遺の奨励品種となった.翌年11月21日に種苗法に基づく品種登録(第1237号)がなされた。  果実は約380gと大きく、長円形であり、着色は赤色縞である。果肉の硬さ・きめは中である。果汁に富み、食味は甘酸適和である。冷蔵で3~4カ月は風味・肉質が保たれる。  長沼では10月下旬に収穫でき、「デりシャス系」と同時期である。樹勢は強く、樹姿は開張性である。長沼における満開期は6月2日で「ふじ」より1日遅れる。  この品種は三倍体で他品種への受粉樹としては不適当である。また「ふじ」と「ノースクイーン」は「ハックナイン」の受粉品種としては不適当である。


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