農業研究本部

農業地域を流れる小河川の水質変化

大村 邦男、黒川 春一

北海道立農試集報.61,31-39 (1990)

 農業地域を流れる小河川を対象に、水質の年間変動を調ペ、その変動要因について検討した。
1.流量は融雪期に最大値を示し、夏期以降はほぽ降水量に対応した。また、水質は流量に左右され、その影響の表われ方には成分ごとに特徴が認められた。
2.増水期には懸濁態成分の割合が高く、渇水期には溶存態成分の割合が高かった。窒素は全体の約7割が溶存態で占められ、NOx-Nは高温期に、NH4-Nは低温期に多い傾向がみられた。一方、リンは懸濁態が約6割を占め、粒子態による移動が主体であることを裏付けた。
3.降雨によって懸濁態各成分が上昇する反面、増水に伴う希釈効果で塩類濃度の低下が認められた。  また、流量とSS、COD、T-N、T-Pとの間には正の、流量とECとの間には負の相関関係が示された。
4.河川の流程変化は流量及び河岸構造の影響を受け、自然河川では懸濁態成分の変動が顕著であるのに対し、改修河川では同成分による流程変化は小さかった。


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