農業研究本部

酪農地帯を流れる河川水質の汚濁評価
酪農地帯における肥料成分の流出と水質保全(第3報)

大村 邦男、黒川 春一

北海道立農試集報.62,23-33 (1991)

 道内の標準的な酪農地帯をモデルに、河川水質の総合的な変動を解析すると共に藻類を用いた富栄養化度の評価を行った。
・調査河川水質に影響をもたらす負荷源としては、草地、畑地、林地及び酪農関連施設、放牧が考えられた。 

・河川水質は、水温とDO、SSとCOD・T-P、ECとC1・ALK・Mg、PO4-PとK等で高い相関関係が認められた。 

・調査河川の水質変化は、懸濁態成分、塩類濃度、季節変化、人為的な汚濁によるとみられる4つの因子に大別され、主成分分析による奇与率は各々35%、29%、l3%、9%であった。 

・第4因子は、早春の融雪期及び降雨後に畜産施設や放牧地周辺で高まる傾向がみられ、その成分内容から酪農関連排水に基づく汚濁を表しているものと考えられた。
 各地点から採取した河川水を用いて藻類生産潜在力を検討したところ、畜舎周辺や放牧地で富栄養化の進行が認められ、統計解析による結果を裏付けた。  また、当地域を流れる河川の富栄養化がリンによる制限を受けていることがわかった。


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