農業研究本部

寒地における側条施肥水稲に対する窒索追肥の影響

三浦 周、坂本 宣崇、古山 芳廣

北海道立農試集報.63,31-39 (1991)

 全層施肥を伴わない側条施肥水稲の中後期窒素栄養を補完する施肥法の一つとして、追肥について検討した結果、褐色低地土において幼穂形成期と止葉期の2回追肥、グライ土において幼穂形成期1回追肥が有効であった。  精玄米収量並びにNの玄米生産効率が両者とも高い水稲におけるN吸収経過を解析し生育時期別最適N保有量を明らかにした。  差し引き法による土壌由来Nの吸収経過は、土壌間差のみならず、年次間変動が大きかった。これに対し、側条施肥由来Nの吸収経過は、年次や土壌による変動が少なく、幼穂形成期までに殆どが吸収され、かつ、側条施肥Nの見かけの利用率は45%であった。  また、生育時期別追肥Nの見かけの利用率は幼穂形成期で66%、止葉期で88%、出穂期で89%であったが、出穂期追肥は穂のN含有率を明らかに高めた。  以上の結果から、土壌由来N水準に対応した側条施肥水稲のN追肥指針を策定した。


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