農業研究本部

泥炭地水田に対する客士の食味向上効果
(1)客土材中ケイ酸の特異性とケイ酸供給源としての役割

柳原 哲司、宮森 康雄、稲津 脩、谷口 健雄

北海道立農試集報.63,61-69 (1991)

 泥炭地水田に対する客土が土壌のケイ酸供給力および水稲のケイ酸吸収におよぼす影響を解析するために、ケイ酸溶出実験、栽培試験および現地調査を行った。  客土材の可給態ケイ酸含量は水田作土に比較して極めて多かった。また、抽出緩衝液のpH、および抽出力の変化に伴う溶出パターンは水田作土と異なり、ケイ酸給源物質の形態に違いがあることが示唆された。  ケイ酸と同時に溶出されるアルミナとの比率から形態をアルミノケイ酸塩と仮定すると、水田土壌のSiO2(Al2O3)1.52に対して客土材はSiO2(Al2O3)0.50と推定された。栽培試験の結果、客土材からのケイ酸供給効果は大きく、ケイ酸吸収量は無客土区の2~5倍に達した。  また、客土材に含まれる易溶性ケイ酸は土取り場土層内で移動集積したものであると推定された。現地調査から、客土によるケイ酸補給効果は客土後の経過数年とともに低下し、10~15年程度で一定となった。


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